皆さんは『シュレーディンガーの猫』を知っていますか?
名前だけなら聞いた事はある、という人は結構いるのでは無いでしょうか。
もともとこの話は、量子力学の話を身近な事で例えて、「おかしいですよね」と批判する為の話なんです(笑)。
なので『シュレーディンガーの猫』自体を知るのでは無く、それが作られた背景がとてもおもしろいのです!
因みに、ブログ主は量子力学の知識はありません。
それを踏まえて上で、楽しんでください。
量子力学とは
「あっ‼
今あなたの体を、小さな粒がすり抜けましたよ‼」
......と言われて、あなたは信じられますか?
信じられないような話ですが、その小さな粒は宇宙から降り注いでいます。
そして文字どうり、私たちの体や、鉄も石も関係なく、地球すらもすり抜けていきます。
その粒の名前は「ニュートリノ」という名前です。
このような、とっても小さな粒、「これ以上小さくできない粒」を量子と言います。
量子には、「ニュートリノ」等の素粒子の他に、分子(CO2やH2O等)や、原子(NとかFとかMgとかです)、電子等があります。
そういった目に見えない、ミクロの世界の物理現象を調べる学問が量子力学です。
そして面白い事に、ミクロの世界は、私たちの常識が全く通じません。
重なり合った状態
ミクロの世界には、「重ね合わせ」というものがあります。
この重ね合わせがとても曲者です。
例えば、あなたの目の前に二つの箱があります。
その二つの箱の内、片方にはリンゴが入っています。もう片方は、空っぽです。
この時、右の箱にリンゴが入っている確率は50パーセント。
この時、左の箱にリンゴが入っている確率も50パーセント。
と、します。
その為、右の箱にリンゴが入っているかもしれないし、入っていないかもしれません。
その為、左の箱にリンゴが入っているかもしれないし、入っていないかもしれません。
そして箱を開けた時、『あっ!右の箱に入っていたか』となります。
これが私たちの世界です。
一方、量子力学のミクロの世界では、これが全く当てはまりません。
あなたの目の前に二つの箱があります。
その二つの箱の内、片方には素粒子があります。もう片方は何もありません(現実ではありえませんが)。
この時、右の箱にリンゴが入っている確率は50パーセント。
この時、左の箱にリンゴが入っている確率も50パーセント。
と、します。
私たちの世界では、
右の箱にリンゴが入っているかもしれないし、入っていないかもしれません。
左の箱にリンゴが入っているかもしれないし、入っていないかもしれません。
となりますが、量子力学の世界では、
右の箱には、素粒子が入っていて、入っていない。
左の箱には、素粒子が入っていて、入っていない。
となります。
なんだか、不思議な表現ですよね。
しかしこれは、比喩とか例えでは無く、マジでこうなのです(笑)。
そして箱を開けて素粒子を存在を観測(確認)した瞬間に、『あっ!右の箱に入っていたか』となります。
量子力学の世界では、素粒子の姿を観測するまでの間は、素粒子が「どこで」「なにを」しているかわからない為、観測するまでの間どちらにも存在している状態になります。
そして、量子力学に多大な功績を残した、シュレーディンガーさんもやはり、量子力学はおかしいよ!という事で、量子力学はおかしいんだよ。あんな学問ダメだよ。と周りの人たちに言いました。
これで彼は、量子力学がおかしいと、周知してもらえると思いました。が、そうはいきませんでした。
普通の人たちにそんな事を言っても、『ミクロの世界なんてわからない。そんなもんなんでしょ。』『学者のやってる事だから』と全く理解してもらえませんでした。
そこでシュレーディンガーさんは考えました。
量子力学が如何にとんでもない学問かを、知ってもらう為に......そしてとうとうひらめきました。
シュレーディンガーの猫
用意するもの
- ラジウム(放射性物質、放射線のα粒子を放出する。)
- 放射線計測装置(放射線を感知すると......スイッチON)
- 毒ガス発生装置(スイッチONになると......毒ガスが......)
- 猫(普通の猫。毒ガスを吸ったら......)
- 箱(上記の4つが入る大きさ、フタつき)
まず、箱の中に残りの4つを全ていれます。
そして、箱のフタを閉めます。フタを開けるのはいつでも良いです。
もし、1時間の間に、ラジウムから放射線のα粒子が放出されたら、放射線計測装置が感知します。そうすると、毒ガス発生装置のスイッチがONになります。
毒ガス発生装置から毒ガスが発生すると猫は死んでしまいます。
前提条件として、
- 猫は毒ガスのみで死ぬ事
- ラジウムからα粒子が放出される確率は50%である。
- 外から箱の中を見る事はできない。音や気配なども確認できない。
- 箱を開けた時に初めて、結果を確認できる。
とします。
箱の中はフタを開けるまで、確認する事が出来ません。
そして猫の生死は、ラジウムからα粒子が放出されたかどうかに左右されます。
思い出してください。量子力学において、ミクロの世界は観測されるまでは、存在するとしないが同時に起こる、「重ね合わせ」があります。
つまり、箱の中において、α粒子は存在すると存在しないが、同時に起こっています。
α粒子が存在する時、放射線観測装置が感知して、毒ガスが発生して、猫が死んでしまいます。
α粒子が存在しない時、放射線観測装置は反応せず、毒ガスは発生しない為、猫は生きています。
α粒子が存在すると存在しないが、同時に起こっているという事は、猫が生きていると死んでいるが同時に起こっています。
つまり箱の中の猫は、箱を開けて確認するまでの間は、猫が生きていて、死んでいます!
どうですか?ありえないですよね。
シュレーディンガーさんは、ミクロの世界の現象を現実の身近な事に置き換える事で、批判したのです。
シュレーディンガーさんのその後
『私はなんておかしな学問に手を出してしまったんだ』と後悔して、物理学をやめてしまいました。